どういう状態ならハッピーなのか?
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローの「欲求段階説」によると、人間の欲求は次のような段階構造になっているということです。
一番下 生理的欲求(食事、睡眠)
2番目 安全の欲求(安全、経済的安定、健康)
3番目 社会的欲求(友情、愛情、所属)
4番目 尊重の欲求(認められたい、尊重、評価されたい)
5番目 自己実現の欲求(自分の能力、可能性を最大限に発揮したい)
この説によると、一番下が85%ほど満たされると2番目、2番目が70%満たされると3番目、3番目が50%満たされると4番目、4番目が40%満たされると5番目の段階を求めるが、1~4が満たされなくても5番目を求める人もいるとのことです。
さらに、マズローは、晩年、5番目の上に6番目「自己超越」(見返りがなくとも社会的目的を達成したい)の段階があると言っています。
これでいうと、前回書いた「仕事で成功する」は、4番目か5番目ですよね。
けれども、仕事で成功していて、なおかつ、ハッピーを絵に描いたような家族がいても、自分はぜんぜんハッピーではないと思っている人もいます。
そういう人たちがときどき口にするのは「つまらない」「わくわくすることがない」「いろいろなものを手に入れ、いろいろなことが分かるようになって、楽しくなくなった」ということです。
「先が見えないなか、苦労していたときが楽しかった」などと言います。
こちらが「それじゃあ、また苦労すればいいじゃないですか」と言うと、「自分はもう守りに入っていてできない。せいぜいこれからの人を育てるぐらいだ」などと言ったりします。
本人が、「もう頂上にたどり着いた。他の山に登る気はない」と思ったら、そこで「ハッピーの旅路」は終わりなのでしょうか?
前回書いたように、何かを得たらハッピーは、得ても「もっともっと」となりますが、十分に得たら得たで「もう得たいものがないので、つまらない」と言う人がいる。
結局、どこまで行ってもハッピーは得られないのでしょうか? そんなことはありませんよね。
ということで、また来週。