ハッピーに過ごすヒント 第27回 反省は10秒で済ませ、今手を打とう

 

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かつて、私が雑誌の編集長だったとき、締め切りが近づくと、「今回は間に合いそうにない。今回はこうだった、ああだった。次回からはきちんとしよう」などと、反省を始める人がいました。

こういう場合、私は「今は反省しなくていいから、とにかく間に合わせて」と言っていました。

締め切りが近づくと反省を始める人は、完璧主義者に多く、物事を白か黒か、勝ちか負けかの「二分法思考」でとらえがちです。

端的に言うと、テストで98点でも「100点取れないのは、0点と同じで価値がない」という考え方なのですが、同じ理屈で「締め切りに間に合わないなら、100と0で、0と同じ」と、やる気をなくし、「今回はこれ以上やっても無駄。捨てよう」と決めます。

そして、反省を始め、自己嫌悪に陥ったりします。

本人にとって「無駄な仕事」はやりたくなくても、しかし、仕事はなくならず、誰かがその穴をカバーせざるを得なくなり、困ります。

70でも80でも出してもらったほうがベター。少し遅れても、どうにか100出してもらったほうがよいのです。

そもそも期限まで若干の時間があるのだから、どうにか間に合うよう頑張る、知恵を絞り、一刻も早く手を打ったほうがよい。
もし、間に合わなくても、作業は完了させる。遅れる時間をなるべく短縮するよう努力すべきなのです。

けれども、この手の人は、反省(思考)に逃げて、手は打ちません(行動しない)。そして、反省に逃げることで、間に合うものも間に合わなくしている自分に気が付いていません。

その後、編集の仕事と関係なく、いろいろな人を観察していると、このような人は案外いると思いました。
力はあっても、追い込みに弱いと、形にならない。

「今度から(来月から、来週から)ちゃんとやろう」とよく思う人は、反省は10秒で済ませ、今手を打てることを考え、もっとジタバタしたほうがよいでしょう。

ハッピーに過ごすヒント 第26回 やることが多くて、やる前から一杯一杯の場合

 
やる前から一杯一杯

やらなければいけないこと、やりたいことがたくさんある場合、「あれをやらなきゃ」「これもやりたい」という気持ちだけで一杯一杯になり、結局たいしたことはできずに時間が過ぎてしまう。焦る気持ちが募り、思ったように動けないことに苛立ち、疲れ、挫折感を味わう、ということがあります。

このような場合、どうすればよいのかというのが、今回のテーマです。

手順は、下記です。

1.自分の理念、ビジョンを確認する
2.今年の目標を確認する
3.そのうえで、やらなければいけないこと、やりたいことをリストアップし、調整する
4.それぞれの項目に関して、具体的にやる行動、段取り、締め切りを決める
5.今週やることを確認する
6.今日やること、明日やることを確認する
7.今日やることに着手する
8.寝る前に、今日を振り返り、明日の予定を決める

1.「理念」というのは、こうあるべきという根本の考えです。
会社でいうと、その会社の事業の目的。何のために、その事業をやっているのかということです。
プライベートな個人の場合は、自分は結局どうありたいのか、何のために生きているのかということです。
そして、「ビジョン」は、将来こうありたいというイメージです。

私たちは、日々、何かを選択して生きています。その際、自分は、今そして将来的に、どうありたいのかという、理念、ビジョンを明確にすると、それらが選択の基準、羅針盤になり、迷いません。

2.1を踏まえて、今年はいつまでに何をどうするのかという、「今年の目標」を決めると、確実にビジョンに近づきます。目標は、具体的な数値、状態にすると、達成状況が明確になります。

3.1、2が固まれば、3は難しくありません。
1、2に関係なくやらなければいいけないことは、人に依頼したり、バーターで自分がやらなくていいようにするなど、合理化策も考え、さっさと片付けたほうがよいでしょう。

4.これは重要です。具体的な行動レベルで、いつ、どんな手順でやるのかイメージできないと、いつまでも実行できません。

5.6.今週、今日、明日やることを決め、それに集中すれば、来週以降のことで悩んだり、焦ったりする必要がなくなります。

7.6までは決めても、「着手」は簡単ではありません。新しいことを始める動きに対して、余計なエネルギーを使わないよう、脳が嫌がるからです。
さらに、熟考し準備万端にしないと動けない完璧主義、ぎりぎりまで追い詰められないと力が出ないタイプ、面倒くさがりタイプなどがいます。
「先延ばしにしない快適さ」を脳が覚えるまで、どうにか頑張って始めるしかありません。

今日のタスクは今日やれば少量でも、明日に回すと明日の分も加わって倍になり、すぐ破たんします。なるべく負担がかからない、最小限から確実に始め、増やしていったほうがよいでしょう。

寝る前に、今日を振り返り、明日の予定を決める8.きちんと実行できた場合は評価して、モチベーションを高めたほうがよいですが、もし予定通りできなくても落ち込まず、明日以降で調整するというように合理的に考えたほうがよいでしょう。

とにかく少しずつでも行動につなげることが大事です。
良くも悪くも、塵も積もれば山となります。

ハッピーに過ごすヒント 第25回 お金と幸せ

 

「もう4月ですね~」というような発言を年中している川嵜です。

0401今回は、お金と幸せの話です。

ふむふむと思う記事2つ。

ひとつは、「週刊現代」「ニッポンは『新・階級社会』になった!」という記事。

講談社の「現代ビジネス」のサイトで読めます。⇒ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38784

「【第1部】金持ちや高学歴の人が幸せなわけじゃない 高卒ヤンキーの『幸せ』と海外移住するエリートの『不幸』」

内容をまとめると、次のようになります。

東京からシンガポールに自社(IT企業)の拠点を移した経営者は、日本では「自分は金持ち」とゆるぎなく思っていたが、シンガポールにはもっと荒稼ぎしている人たちがいて、スーパーエリートたちのなかでは、かすんでしまってがっかりな感じ。

また、別の外資系企業に勤める人は、東大卒で、共働き。世帯年収は3000万円。恵まれているはずなのに、億単位のボーナスをもらっている人たちと自分を比べ、満足できない様子。

これに対し、サーフショップの店員をしている人は、手取り20万円弱の月給で、妻と娘(1歳)と暮らしている。「結局、仲間がいて波があればそれでいい」という境地で、不安もなく、満足して暮らしている。

また、コンビニでバイトをしている女性(夫と子ども2人)は、祖国に貧しい家族を抱えている外国人のアルバイトに比べれば、自分たちの境遇はずっと恵まれていると、仲間と話している。

もうひとつの記事は、「アエラ」4月7日号の「年収1千万円の研究」

結論から言えば、年収1千万円を超えていても、その年収に満足しているのは半数。同じ仕事でもっと稼いでいる人と比べて不満だったり、激務に納得がいかなかったり。

まあ、そういうものだと思います。

井上陽水さんの曲「限りない欲望」の歌詞のように、何か欲しいと思ったものが手に入ると嬉しいけれども、しばらくすると、それがあるのが当たり前。さらに欲しいものが出て来て、それを持っている人が羨ましくなる。

お金と幸せの関係は、お金がなくて生活できない状態なら、幸せを感じるのは難しいかもしれませんが、ある程度暮らしていける状態なら、決して比例しているわけではないと思います。つまり、お金が2倍得られれば、幸せも2倍・満足度も2倍になるわけではないということです。

私は、これまで仕事でお会いするのは「経営者」ばかりで、この方たちの会社の売り上げ、利益、ご自身の年収、財産は、人によって、また、同じ人でもタイミングによってかなり幅がありました。そういったなか、お金と幸せは比例していないと、強く感じました。

お金がなくてもビジョンや希望、やりがいがあれば、志を同じくする仲間や、喜んでくれるお客さんがいれば、笑顔に満ち溢れ、幸せを感じられます。

要は、その人が、人生に何を求めているかだと思います。

精神的な満足は、生きがいを感じられる仕事をやっていて、その感謝と評価の意味のお金を得られるほうが、価値を感じていない仕事を、お金のために嫌々やっているよりも得られるでしょう。

物質的な欲求は、満たされない精神的な欲求の代替品である場合があります。
高額の商品を買うことによる満足感は、それを買える自分に対する満足感であり、人に認めてほしい、褒めてほしいという気持ちが伺えます。

それよりも、もっと直接的に、仕事や活動で、お互いに認め合い、信頼できる仲間がいたり、愛し愛されている家族がいるほうが、満足度は高いはずです。

自分が得たい、与えられたいという側にいると、自分と同じような仕事で、自分よりも頑張っていないのに、うまいことをして稼いでいるやつがいて悔しいという気持ちになりがちです。

自分が与える側にいると、自分にとって大事な人たちのためにどう貢献できるか考えているだけでも楽しく、それが実現できて、喜んでもらえると、非常に満足度が高くなります。

与えられたいという気持ちに対しては足るを知り、自分が与えるものに関しては、よりよいものを追求するのが、幸福への一歩ではないかと思います。

ハッピーに過ごすヒント 第24回 やりたいことが見つからない(3)

 

やりたいことが見つからない(1)よくない循環
やりたいことが見つからない(2)心を縛る鎖

今回は、よい循環について説明します。

よい循環

何かをしたいなと少しでも感じたら、あれこれ考えずにやってみる。
まずは小さな「したいこと」からしてみます。

もしうまくいかなくても、そこで深く考えずに、また試してみます。

そして、少しでもできたら喜びましょう。「まぐれだ」とか、「こんなことはない」などと考えずに、素直に喜びます。

そして、やりたいことを定期的にイメージして、文字にしましょう。

やりたいことをして喜び、さらにやりたいことをイメージして書いて、ワクワク感を膨らませる。そして、やりたいことをやる。

「する」⇒「喜ぶ」⇒「やりたいことをイメージして書く」という循環をまわしていきます。

少しずつ、できるところからでよいのです。

今から1800年以上も前に、ローマ帝国皇帝のマルクス・アウレリウスが言っています。
「われわれの人生は、われわれの思考によってつくられる」

あなたは、想像できないほどの能力や可能性を秘めています。
あなたが心に描き、信じたことが現実となり、あなたの人生となるのです。

ハッピーに過ごすヒント 第23回 やりたいことが見つからない(2)

 

前回、やりたいことが見つからない人は、「心を縛る鎖」のせいで、「よくない循環」に陥ってしまっていると書きました。

kusari今回は、その「鎖」について見ていきましょう。

・義務感
しなければならないことが多すぎて、余裕がない。やるべきことをこなすだけで、毎日が終わってしまう。つねに「~をしなければならない」という気持ちに追い立てられている。

・決めつけ・思い込み
「女性(男性)は、こうでなければならない」「妻(夫)は、これをしなければならない」「親は、こうでなければならない」「社員は、こうであるべき」など、「〇〇は、~べき」という考えをもっている。
その考えは、自分の考えにも関わらず、「だから、したいことができない」「我慢しなければならない」と、半ば被害者意識に陥っていることもある。

・あきらめ
「どうせ~だから無理」「○○な私にはできない」「自信がない」「能力がない」「性格的に無理」「時間がない」「お金がない」「知り合いがいない」「今さらできない」「もう歳だから無理」という気持ち。

・世間の目・他人の目
まわりから、あるいは、誰からか「こう思われるのではないか」「反対されるに違いない」「非難される気がする」「心配をかけると思う」と、人の目を気にしている状態。

・他人の意見・反対
自分とは異なる意見、反対、否定を受けて、行動をストップしている状態。

いずれも、その考え方を選んでいるのは「自分自身」ではあるのですが、半分「受け身」、「~させられている」「~を強いられている」「あきらめざるを得ない」という気持ちになっています。

これらの考え方の裏側にあるのは、次のような気持ちです。

・愛されたい ~ いい人でいたい。相手の期待に応えることで愛されたい
・認められたい ~ 自分は正しい。自分は価値ある存在だと認めてほしい
・安全でいたい ~ 変わらないことで、自分を守りたい

これらの気持ちは、誰にでもありますが、とくに上の2つで、人に求める気持ちが強いと、だんだん本当の自分の気持ちがわからなくなってきます。

自分が、人に受け入れられるために、自分の気持ちを曲げているのですが、だんだん曲げないと受け入れられない、誰かのせいで曲げざるを得ない、犠牲になっているという気持ちになってくることもあります。

たとえば、もとは「家族のために、家にいたほうがいい」という自分の選択だったのが、知らず知らずのうちに「家族のために、家にいなければならないから、やりたいことができない」「家族の犠牲になっている」という気持ちに変わっているケースです。

kusari2これらの「心を縛る鎖」は、自分で縛っているので、はずすことができます。

「愛されたい」「認められたい」という気持ちは、自分の主体性を拡げ、他人への依存心を減らすことによりはずせます。

たとえ誰かに自分の考え、意見、行動などを否定されても、人の考え、意見はそれぞれなので、相手の考え、意見の自由も尊重する。そもそも、自分の存在価値は変わらず重いということを自分で認識することが大事です。

また、「安全でいたい」という気持ちは、単に不安をもつのではなく、不安に備える、万一に備える。「備えあれば憂いなし」としたほうがよいと思います。

・義務感
「しなければならない時間」より「したいことに使う時間 」を徐々に増やしていく。もし、人目を気にして、本来やらなくてもいいことまでやっているのなら、それを減らしていく。

・決めつけ・思い込み
我慢して後悔するより、少しずつでもしたいことをするように意識を変える。

・あきらめ
「今できないこと」は、決して「将来もできないこと」「いつまでも、永久にできないこと」ではない。試しに、できることからやってみる。「〇〇がなくても」「〇〇でも」、できる方法を考えてみる。

・世間の目・他人の目
思い込みかもしれないし、過剰に期待に応えようとしない。
いい人でなくなると、否定されるのではないかという不安があるかもしれないが、そういう人は「都合のいいあなた」を求めているだけで、あなたのことを本当に大切には思っていない人かもしれない。

・他人の意見・反対
さまざまな人がいるので、さまざまな意見があるのは当然。自分がどうするかは、他人ではなく「自分の」人生なので、自分で決める。主体的に生きる。

さらに…
人は皆「愛されたい」「認められたい」「安全でいたい」と思っていますが、求めるだけの人が多いので、なかなか満たされません。
ですから、自分が「愛する」人、「認める」人、「安全をもたらす」人になりましょう。

次回は、「よい循環」について説明します。

ハッピーに過ごすヒント 第22回 やりたいことが見つからない(1)

 

「やりたいことが見つからない」という人がいます。

仕事にやりがいを感じられない。そうかといって、休みに何かしようとも思わない。面倒くさい。
やらなければいけないことはたくさんあり、重い腰を上げて渋々やっている。

どこか満たされない毎日を送っている。
このままではいけないと思いつつも、何をしたいかわからない。考えても何も出てこない。

こういう場合、今日に至るまでに、知らず知らずのうちに、自分で自分の心を縛り、「自粛」するのが癖になっていることが考えられます。

下記のような「よくない循環」に陥ってしまっているのです。

よくない循環

何かをしたいなと感じたとき、「心を縛る鎖」のせいで、それをすることができない。
したいことをしないと、「(したいことが)できた!」という満足感や幸福感、自信も得られない。

何かやりたいことがあっても「どうせできないから」という気持ちになり、知らず知らずのうちに、心の中で、「やりたいことを思い浮かべてもムダ」だと思えてくる。

例えば、レストランで「何を食べたい?」と聞かれ、「カレー」と答えると「それはダメ」、「じゃあ、グラタン」「それもダメ」、「オムライス」「ダメ」、「ハンバーグ」「ダメ」……と「ダメ」が続いた結果、「で、何が食べたい?」「もう、いいよ」という状態です。

ここで、「ダメ」と言っているのは、自分であり、誰かが命令しているわけではないのですが、心理としては「自粛」です。

「自粛」というのは、周囲からの無言の圧力に対して、「行動を起こすのを控える」という、受け身的な対応です。

この「何を言っても、どうせダメなんでしょう」という気持ちが心に固定されると、何も言う気にならなくなる。

そうやって、やりたいことがわからなくなってきて、やりたいことがなくなり、「(したいことが)できた!」という満足感や幸福感、自信を得られる機会が失われていくという悪循環に陥ります。

「心を縛る鎖」は下記のようなものです。

・義務感
・決めつけ・思い込み
・あきらめ
・世間の目・他人の目
・他人の意見・反対

次回、詳しく説明します。

ハッピーに過ごすヒント 第21回 今も、少し先も、将来も大事

ガンジー
ガンジーの言葉

インド独立の父、ガンジーの言葉に「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」というのがあります。

この言葉は、「明日死ぬと思って」というだけでなく、「永遠に生きると思って」というのがセットになっているのが、重要だと思います。

前半の「明日死ぬと思って生きなさい」と言う人は多いです。
私も一時期、それを意識して過ごしたことがあります。

今に集中して、本当にやるべきことをやる、今を充実させるというのはいいのですが、長期的な視点で、じっくり考えたほうがいいこと、「教育は国家百年の計」のようなことは少々考えづらいなあと思いました。

「永遠に生きる」がプラスされると、直ちに出なくても徐々に出てくる健康や環境への影響を考えますし、本当にやるべき目的のために、焦らず、着々とやることを考えます。

だから、「明日死ぬ」と思って、今に集中しつつ、「永遠に生きる」と思って、未来のことも念頭に置くというのがいいのだろうと思います。

10分後-10カ月後-10年後

10-10-10

それを、日々の課題解決に取り入れたのが、「10-10-10(テンテンテン)人生に迷ったら、3つのスパンで決めなさい!」(スージー・ウェルチ著/講談社)という本です。

「人生に迷ったら」と書いてありますが、大きな決断をしなければならないとき、10分後(現在)、10カ月後(予測できる将来のある時点)、10年後(未来のある時期)を考えて、決断しなさいというものです。

今も、ちょっと先も、将来も大事で、今のために将来を軽視したり、逆に、将来のために今を犠牲にするのもよくないと言っています。

言われてみればその通りですが、どうしても、「今」か「未来」かのどちらかに比重がかかりがちなので、「10(分後)-10(カ月後)-10(年後)」を意識するのはいいと思います。

余談:ちなみに、スージー・ウェルチは、ハーバード・ビジネス・レビューの元編集長で、ジャック・ウェルチ(元GEのCEOで「伝説の経営者」と呼ばれた人)の3番目の奥さんです。
この本(日本語版)の編集担当は、フリーの編集者、青木由美子さんで、この人の担当の本は、聞くと「ああ、知ってる」という、ベストセラーが多いです。

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