井上智子さんは、整体師であり「ハーブボールセラピスト」でもある。
「ハーブボール」とは、数種類のハーブをブレンドし、布に包み、紐で縛ったもので、これを蒸したものを体に当てる療法が、タイに古くからあるという。この「ハーブボール」を使った施術を行なうのが「ハーブボールセラピスト」。
オン タイマッサージ(ハーブボールセラピー)を学んだ井上さんが、日本の和草ハーブで応用できないかと研究し、びわの葉をブレンドしたものが「びわ式ハーブボール整体」だ。
また、これとは別に、井上さんは、びわの種を使ったアロマウォーター(芳香蒸留水)も開発し、「シーボルトウォーター」と名付け、整体に利用するほか、販売もしている。
―― 整体にハーブボールをプラスしようと思われたのは?
整体師として独立するのに、武器になるものが欲しいなと思っていたときに、ハーブボールの存在を知りました。
ハーブボールには、冷え症や女性特有の不調、疲労の緩和、美容効果があるのですが、実際に体験してみて、香りや暖かさに心地よさを感じました。
自然の植物の力という点にも興味をもち、これからのニーズに合っていると思いました。
そして、熊本で、ハーブボールセラピスト協会の研修があることを知り、受けに行きました。
―― びわの葉をブレンドしようと思われたのは?
タイのハーブボールは、タイのハーブをブレンドして作り、パンチのある香りが特徴です。
では、日本のハーブは、というと、和草ハーブを調べて必ず出てくるのがびわです。
びわは「最高の民間薬」「医者いらず」として、葉は温灸や入浴に使われています。そして、長崎はびわの産地でもあります。
リラックスラボでは、タイのハーブに長崎のびわの葉をブレンドしたハーブボールと、和草と長崎のびわの葉をブレンドしたハーブボールを使用しています。どちらもオリジナルで、和草のほうは、穏やかで優しい香りです。
―― びわの種を使ったアロマウォーターを開発されたのは?
昨年、「長崎甘香」というびわを食べたとき、そのおいしさに感動しました。そして、この種を何かに使えないかと思い、アロマポットに入れてみたところ、知っている感じの香りがしました。
そこで、種だけ売っているところがないかと探し、あったので、蒸留してみました。じつは、びわの種も、葉と同じように、民間療法で使われているのです。
このびわの種を使ったアロマウォーターを、整体と組み合わせるのもよいし、ボトルに入れて提供してもよいと思い、びわのエキスパートである、植物衛生栄養学の大学の先生にも相談して、開発することになりました。
まろやかで甘くノスタルジックな香りで、「シーボルトウォーター」と名付けました。
―― 「シーボルトウォーター」は、香り-1グランプリに出品され、長崎県ビジネスプランコンテストで受賞もされましたね。
昨年(2014年)の「香り-1グランプリ」のハイドロゾル(芳香蒸留水)部門で、予選をクリアし、ファイナルに残りました。
「長崎県ビジネスプランコンテスト」では、優秀賞を受賞しました。
この「シーボルトウォーター」は、8月21日、22日に東京・銀座で行なわれる「アロマウォーターフェスタ」にも出品します。
ミニスプレーボトル(500円)は、今回、サンプルとして無料でお配りしますので、ぜひ試してみてください。
「アロマウォーターフェスタ」は、中身の濃い、楽しめるイベントで、香りの世界を感じていただければと思います。事前登録すれば無料です。
香りは認知症予防にもなりますし、折々に体が欲しがる、自分に合う香りがありますので、探してみてください。
―― 今後の予定をお聞かせください。
9月にタイに行って、さらに勉強してきます。
ハーブボールに加えて、キムというタイの古楽器にも興味をもっています。これは、ピアノの原型とも言われ、癒しの音を奏でる打弦楽器です。
小さい頃にピアノをずっとやっていたので、音楽は、ライフワークとしてやっていきたいと思っています。
タイでいろいろなものを吸収して来たいです。
10月には、ハーブボールの上級者コースを受講する予定です。
妊産婦ケアは、いまも受け入れていますが、力を入れていきたいです。
妊娠後期から、子宮を温めて胎児が居心地のよい環境を作ったり、産後、子宮の悪露を輩出したりするケアにもハーブボールは利用できます。
また、ハーブボールにブレンドする植物として、長崎の柑橘系の果物「ゆうこう」も考えています。
「身土不二」という言葉があり、身体と土地は切り離せない、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方なのですが、これをハーブボールにも活かせたらと思っています。
「植物」「ハーブ」「音楽」「癒し」をテーマに、これからも、リラックスを追求していきたいと思います。