ハッピーに過ごすヒント 第13回 新しいことに挑戦している人へ

 

結果が出るまでには時間がかかる

今回は、新しいことに思い切って挑戦したものの、なかなかうまくいかず、軌道に乗らず、悩み、苦しんでいるあなたに向けて書きました。

これは、私のセミナーでたびたび言っていることでもあり、古今東西の人が言っていることでもありますが、何らかの新しいことに挑戦したとき、すぐにうまくいくことはそれほどありません。

うまくいったり、いかなかったりして、なかなか軌道にのらないのが普通です。

そして、うまくいったら気持ちも高まりますが、うまくいかなかったら落ち込む。「状態」に「感情」が左右されがちです。

けれども、いわゆる「一喜一憂」が多くなると、エネルギーを消耗します。とくに、「うまくいかない」と落ち込んで、行動を止めてしまうのはよくありません。

結果が出るまでには時間がかかります。すぐに結果が出なくても、継続することが大事です。結果につながるよう、あれこれ考え、試行錯誤することでコアコンピタンス=他には真似できない、核となる能力、スキル、ノウハウ」が得られます。

なので、落ち込んでもすぐ立ち直る。気持ちを立て直して継続することが大切です。

次のステップに向かっている証拠

コンフォートゾーンそもそも、新しいことへの挑戦は、自分のこれまでの範囲、慣れ親しんだ快適空間である「コンフォートゾーン」を超えています。たとえると、内海から外海へ、動物園から荒野へ出ているのです。
だから、「試練」が待っているのは当たり前で、この「試練」はおおいなる「成長のチャンス」でもあります。

何か「問題」が起きないことが珍しいのです。

とはいえ、うまくいかないとネガティブな感情になります。

新しいことに挑戦こんなに頑張っているのに、夜も寝ず、食事もまともにとらず、もちろん遊ぶことなんかまったくなく、いろいろなものを犠牲にしてずっとこればかり考え、やってるのに、何でうまくいかないの?

いろんな人の意見も聞き、セミナーにも言って、アドバイスも受けて、いろんなことをやってるんだけど、これ以上、いったい何をどうやったらうまくいくの?

なんでこんなに真面目に頑張っている自分が全然うまくいかないのに、インチキな〇〇さんがうまくいくの? おかしいんじゃない。

思い切ってこれに人生をかけたのに、ちっともうまくいかないなんて、この先どうなるの?

怒り、憤り、疑問、自信喪失、不安、混乱……。

ネガティブな感情が溢れだします。苦痛です。

しかし、これは次のステップに向かっている証拠です。

落ち込んでも立ち直る中断せず、立て直すだけです。

余計な力を抜き、できるだけ違う角度から見る。どこかに死角があります。時間がかかっても、ウォーリー(※)は必ずどこかにいるのです。

信じて続けること。それだけしかありません。

これは、古今東西の人により実証されている「原理原則」です。

 

(※)「ウォーリーをさがせ」のウォーリーです。

ハッピーに過ごすヒント 第12回 死にたかった経営者

 

前回、経営者の話を書きました。

私は、銀行の全国の店舗で、経営相談をやっていました。
相談に見えられるのは、銀行のお客さんが中心。お客さんは相談料無料で、ギャラは銀行が払います。

朝の9時から夜の7時まで。基本は予約で1人1時間。
店舗によっては、お昼休みを考えずに、フルに(10人)予約を入れています。
「早めに相談を終えて、お昼にしてください」などと言いますが、お客さんは真剣なのでそんなことはできません。

お客さんは、勢いのある方か、逆に勢いを失っている方の両極端。どんなタイプが多いかは店舗によります。

ときどき、ビジネスがうまくいかず、もう会社を辞めたい、死にたいという方がいらっしゃいます。
本人が会社をどうにかしたくて相談に来ているのではなく、銀行に呼ばれて渋々やって来ています。

いろいろな手を打ったが、どうしようもない。夜は眠れずお酒を飲んでいる。「もう死ぬつもりだ。あんたには、何もできないだろう」などと言います。

■■■ 試してほしいこと ■■■

「わかりました。おっしゃるとおり、何もできないと思いますが、死ぬ前にひとつ試してみていただきたいことがあります」と、私は言いました。

「これは、いまは世界的に有名になっている社長から直接聞いた話です。同じような状態のときに、たまたまやって、それから状況が変わったそうです。やってみますか? 簡単なことです」

いぶかしい顔をされながらも、やってみるというので方法を教えます。

家に帰って、夜になったら、運動ができる服、靴に替える。
遠くの公園、神社など、比較的広くて樹木があったり、自然がある場所を目的に走る。疲れたら歩く。
お酒はもちろん飲んではいけない。水だけ飲む。
朝になるまで走る。疲れたら歩く。どんなに疲れても、帰ったり、眠ったり、途中でやめてはいけない。ただ走るか、歩き続ける。
これだけ。

は~? こんなのでどうにかなるんだったら、苦労しないよ、と思いますよね。
しかし、これは本当に、いまは世界的に有名になっている社長から直接聞いた話です。

そして、結果は?

明け方、私の携帯に電話がかかってきました。

「何か憑き物が落ちたみたいだ。ありがとうありがとう」

――

後日、この方と話をしました。

最初、腹立たしいことばかり浮かんできた。やっぱり走っても仕方ない。これでどうにかなるわけがない。世の中、そんなに甘くない。これまで辛いことばかりだった。

しかし、なんで自分はうまくいかないのか? ずっと頑張ってきたのに。なぜ自分が負けて、気に食わないやつらが勝つのか? まったくもって解せない、許せない。

走っても仕方がない。けれども、朝、文句の電話をかけてやるために、ずっと走ったり歩いたりしていた。

身体が疲れ切って、もうネガティブなことも何も一切考えられなくなった頃、だんだん夜が明けてきた。急に何かに気付いた。戦慄が走った。

忘れていたいろんなことを思い出した。いろんな人の顔が浮かび、出来事が浮かんだ。
辛いばかりの、悪い人生だったんだろうか? そうでもないんじゃないか?
自分は、ある意味、逃げていたんじゃないのか?

何だか涙が出てきた。しばらく泣いていた。何かが洗い流された気がした。それから、力が湧いてきた。

■■■ ありふれた町中とアフリカ ■■■

話を聞いて、「へ~、そうなんですか~」と私が言い、「えっ、自信をもって勧めたんじゃないの?」と、経営者。

「いえいえ、どうなるかはその人しだいでしょう」と私が言い、「いい加減な人だな~!」と、経営者は大笑いしていました。

実際、同じことをしても、ダメな場合はダメで、何も変わらない人もいるでしょう。

しかし、いつもと同じ、ありふれた町中で、ただ夜が明けただけでも、夜明けの威力、自然の威力も手伝って、自分が変わるきっかけにはなるのです。

この時点では、当然、ビジネスの状況は一切変わっていませんが、本人の意識、気持ちが変わったので、結果、立て直せたのでした。

この前、「道に迷う若者へ」の本で、人生を変えるためにアフリカの旅に行った人の話を読んでいるときに思いました。

せっかくアフリカに行っても、現実から逃げただけなら、人生は変わらない。

同じ現実の違う側面が見えたとき、変わるのでしょう。

自分を睨みつけ、叩きのめし、苦しめてきた現実が、じつは、自分を育て、助け、見守っていたことに気がついたときに、変わるのでしょう。

そして、目の前の課題に真剣に取り組む気持ちになったとき、道が開けるのかもしれません。

ハッピーに過ごすヒント 第11回 うまくいく人、いかない人

 

前回、ビジネスの「成功の秘訣」は、何事があっても「意識的」「戦略的」にポジティブに解釈し、解決の方向に思考・行動を切り替えることと書きました。

これは、言うは易く行なうは難しですが、たくさんの経営者を10年、20年と観察し続けた結果、そう思うに至りました。

私がこれまでにお会いした経営者は、いくつかの異なるタイプの方々です。

まず最初にお会いしたのは、経営者向けビジネス雑誌の取材で、成功しているか、成功しつつある起業家など、他の経営者にとって何らかのヒントになる方々です。

次は、経営コンサルティングの会員で、いわゆる成長意欲の高い、野心のある方々。自分の店を全国展開したい、海外進出したい、上場したいなどという方々。

その後は、経営相談にいらした方々。これはさまざまです。新規事業を考えている、ビジネスを拡大したいという方もいれば、ビジネスがうまくいかず、もう会社を辞めたい、死にたいという方も。

そして、成功している方で、その後、5年後、10年後と会社がさらに発展する場合もあれば、会社がなくなってしまう場合もあります。ゼロから成長を遂げる方も。

うまくいく人、いかない人、うまくいく場合、いかない場合。
この違いは何なのだろう? 何がこういう結果をもたらすのか?
と思い、観察していて、だんだんわかってきたのです。

経営者の考え方やメンタルの部分が大きいと。

よく、起業家に必要なのは「ウォーム(ホット)ハート・クールヘッド」といいますが、高い志や情熱とともに、冷静さが大事だと感じます。

何をやってもうまくいかないとき、ほとんどの人がネガティブな気持ちになりますが、ここで、どうにか気持ちを切り替えて「なんとかして解決の方法を考えよう」と、動けるかどうか。

そこに、どうしてもビジネスを続けたい気持ち、諦めたくない思い、成し遂げたい思いがあるかどうか。

そこまでしてやろうと思い、あれこれ冷静に考え、手を打てば、実際に動けば、たいていのことは成功に近づく気がします。

ハッピーに過ごすヒント 第10回 ビジネスを成功に導くシンプルな秘訣

 

前回、「解釈しだいでハッピーにもアンハッピーにもなる」と書きましたが、これまで多くの経営者にお会いしてお話を伺うなかで、この「解釈」、すなわち、ある事実をどうとらえるかは、ビジネスの成否においてもかなり重要だと感じました。

ビジネスでも人生でも、いわゆる「よいこと」「よくないこと」が起こります。もちろん、この「よい」「よくない」の内容は、時代や地域、環境によって違いますが。

ビジネスで言うと、お客さんが増え、売り上げ・利益が増えるのは「よいこと」、雇用が増え、地域経済や国が潤えば、社会的にも「よいこと」と考えられます。

しかしながら、なかなかお客さんが増えない、売り上げ・利益が上がらないのは、ビジネスでは普通ですし、逆にお客さんが減り、売り上げ・利益が下がることもよくあることです。

他にも「よいこと」「よくないこと」はいろいろありますが、「よくないこと」が多発するのは、誰にとっても当然「苦痛」です。
自信を失う、不安になる、疑問を感じる、憤りを感じる、混乱する、やる気を失う、現実から逃避したくなるのが普通です。

けれども、ここで「ピンチはチャンス」「改革のグッドタイミング」「本当の実力が試されている」「プロセスを楽しむ」「成功に至る途中」などと、意識的にポジティブに解釈して、モチベーションを下げず、むしろ上げて、いろいろトライするうちに、うまくいくことは多々あります。

「意識的」「戦略的」にポジティブに解釈するのがポイントです。

誰にとっても「苦痛」の状態は苦痛です。けれども、そこにとどまったり、マイナスの言葉でさらに落ち込む選択ではなく、「意識的」「戦略的」にポジティブに解釈するのです。

多くの経営者を見ていて感じるのは、下記のようなことです。

・ビジネスは順風満帆ではなく、必ずといっていいほどピンチに陥る
・そこで、ネガティブな気持ちになって、惑乱し、自滅的な行動をとると失敗する。
・そこで、ポジティブな気持ちになって、知恵を絞り、試行錯誤し、いろいろな手を打っているうちにうまくいくことが多い。

要は、何事があっても「意識的」「戦略的」にポジティブに解釈し、解決の方向に思考・行動を切り替えればよいということです。

この「解釈」と、それに基づく「行動」でビジネスの「成否」が決まるといっても過言ではないと思います。
シンプルですが、実際には誰にでもできるというわけでもありません。
ビジネスの「成功の秘訣」は、そんなところにあるように感じます。

ハッピーに過ごすヒント 第9回 解釈しだいでハッピーにもアンハッピーにもなる

 
前回、「結局、あなたのハッピーを決めている、決められるのはあなた自身です」「人は、事実そのものではなく、その解釈によって、ハッピーになったり、アンハッピーになったりします」と書きました。

たとえば、何か「よくないこと」が起きたときに、「こんなことが起きるとは、自分はついていない」という解釈をするか、「今のこの体験はきっと自分の力になる」という解釈をするかは、自分しだいです。

そう、人生で「よくないこと」は多々起きて、自動的に「よくない気持ち」になります。

何だかつまらない、気分がよくないこともあれば、さらに、最低、最悪だと思うことも起こります。

仕事がうまくいかない、リストラされた、会社が倒産した、お金が入ってこない、恋人と別れた、人間関係がうまくいかない、人にだまされた、やることなすこと裏目に出る、努力が報われない、病気になった、事故に遭った、災害に遭った、犯罪に巻き込まれた、大切な人が亡くなった……などなど。

つらい、受け入れ難い、あり得ない、何で自分がそんな目に遭うのか、耐えられない、許せない、腹が立つ、悲しい、地獄だ、もう終わりだ……と、自動的に思えてくるでしょう。

ずっとそこにとどまるか、どちらの道に行くかは、自分で選べる
ずっとそこにとどまるか、どちらの道に行くかは、自分で選べる

けれども、ずっとそこにとどまるか、マイナスの言葉でさらに落ち込むか、プラスの言葉で立ち直るかは自分で選べます。

「そもそも自分の人生はついていない」と思えば、そういう事例ばかりを思い出し、「もう八方ふさがりだ」と、さらに落ち込みます。

逆に、「これを人生の転機にしよう」と思えば、少なくともアンハッピーにどっぷりつかっている状態からは脱却できます。

何事に対しても、ネガティブな解釈をして、マイナスの言葉を使えば、アンハッピーな気持ちになり、ポジティブな解釈をして、プラスの言葉を使えば、ハッピーな気持ちになります。

さらに、状態を変えるべく行動を起こせば、アンハッピーから徐々に遠ざかり、フラットになるでしょう。

ハッピーに過ごすヒント 第8回 どうならハッピーなのか?(後編)

 

どうならハッピーなのかは、それぞれの人、場合によって違います。

まったく同じ状況でも、ハッピーに感じる人と、そうでない人がいますし、同じ人でも、ハッピーに感じられるときと、そうでないときがあります。

銅メダルを獲っても「金メダルではない」とアンハッピーになる状況はある

たとえば、オリンピックに出場すること、さらにメダルを獲得することは、普通の人にとっては夢のまた夢です。
けれども、オリンピックに出て、銅メダルを獲っても「金メダルが獲れなかった」とアンハッピーになる状況はあります。

ハッピーかどうかは、結局のところ、それぞれの人が、それぞれのときに、ほとんど勝手に感じてしまう「感情」と言えます。けれども、この「感情」は、その人、そのときの見かた、解釈に左右されます。

友だちが待ち合わせの時間に来ない。連絡もない。
どう感じるかは、その人、そのときの解釈によります。

忘れているのか、遅れているのか? 連絡もしないとはなっていない、友だちだと思って軽く扱われているのではないか、と思うとイライラするでしょう。

仕事が長引いているのか、電車が遅れているのか、迷っている? もしかしたら、相手か自分が日時を間違っている、と思うとイライラはしません。
確認の電話をかけたり、メールを送る人が多いでしょう。

しかし、電話はつながらない。メールの返事は来ない。
心配に感じたり、イライラしたり、感情が揺れ動きます。

これが友だちではなく恋人なら? 家族なら? お客さんなら? また違った感情が生まれるかもしれません。

人は、事実そのものではなく、その解釈によって、ハッピーになったり、アンハッピーになったりします。
この場合の事実は、単に「待ち合わせの人が来ない」ということで、その理由はまだ判明していません。

どうならハッピーなのか?

あなたがハッピーだと感じればハッピーです。
どんな状況でも、あなたがどう解釈し、感じるかの問題です。

あなたが何かを手に入れるとハッピーになるのではなく、ハッピーだと解釈できたとき、あなたはハッピーだと感じられます。

結局、あなたのハッピーを決めている、決められるのはあなた自身です。

次回、もう少し詳しく説明します。

ハッピーに過ごすヒント 第7回 どうならハッピーなのか?(中編)

どういう状態ならハッピーなのか?

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローの「欲求段階説」によると、人間の欲求は次のような段階構造になっているということです。

一番下 生理的欲求(食事、睡眠)
2番目 安全の欲求(安全、経済的安定、健康)
3番目 社会的欲求(友情、愛情、所属)
4番目 尊重の欲求(認められたい、尊重、評価されたい)
5番目 自己実現の欲求(自分の能力、可能性を最大限に発揮したい)

この説によると、一番下が85%ほど満たされると2番目、2番目が70%満たされると3番目、3番目が50%満たされると4番目、4番目が40%満たされると5番目の段階を求めるが、1~4が満たされなくても5番目を求める人もいるとのことです。

さらに、マズローは、晩年、5番目の上に6番目「自己超越」(見返りがなくとも社会的目的を達成したい)の段階があると言っています。

これでいうと、前回書いた「仕事で成功する」は、4番目か5番目ですよね。

けれども、仕事で成功していて、なおかつ、ハッピーを絵に描いたような家族がいても、自分はぜんぜんハッピーではないと思っている人もいます。

そういう人たちがときどき口にするのは「つまらない」「わくわくすることがない」「いろいろなものを手に入れ、いろいろなことが分かるようになって、楽しくなくなった」ということです。

「先が見えないなか、苦労していたときが楽しかった」などと言います。

こちらが「それじゃあ、また苦労すればいいじゃないですか」と言うと、「自分はもう守りに入っていてできない。せいぜいこれからの人を育てるぐらいだ」などと言ったりします。

本人が、「もう頂上にたどり着いた。他の山に登る気はない」と思ったら、そこで「ハッピーの旅路」は終わりなのでしょうか?

前回書いたように、何かを得たらハッピーは、得ても「もっともっと」となりますが、十分に得たら得たで「もう得たいものがないので、つまらない」と言う人がいる。

結局、どこまで行ってもハッピーは得られないのでしょうか? そんなことはありませんよね。

ということで、また来週。