ハッピーに過ごすヒント 第8回 どうならハッピーなのか?(後編)

 

どうならハッピーなのかは、それぞれの人、場合によって違います。

まったく同じ状況でも、ハッピーに感じる人と、そうでない人がいますし、同じ人でも、ハッピーに感じられるときと、そうでないときがあります。

銅メダルを獲っても「金メダルではない」とアンハッピーになる状況はある

たとえば、オリンピックに出場すること、さらにメダルを獲得することは、普通の人にとっては夢のまた夢です。
けれども、オリンピックに出て、銅メダルを獲っても「金メダルが獲れなかった」とアンハッピーになる状況はあります。

ハッピーかどうかは、結局のところ、それぞれの人が、それぞれのときに、ほとんど勝手に感じてしまう「感情」と言えます。けれども、この「感情」は、その人、そのときの見かた、解釈に左右されます。

友だちが待ち合わせの時間に来ない。連絡もない。
どう感じるかは、その人、そのときの解釈によります。

忘れているのか、遅れているのか? 連絡もしないとはなっていない、友だちだと思って軽く扱われているのではないか、と思うとイライラするでしょう。

仕事が長引いているのか、電車が遅れているのか、迷っている? もしかしたら、相手か自分が日時を間違っている、と思うとイライラはしません。
確認の電話をかけたり、メールを送る人が多いでしょう。

しかし、電話はつながらない。メールの返事は来ない。
心配に感じたり、イライラしたり、感情が揺れ動きます。

これが友だちではなく恋人なら? 家族なら? お客さんなら? また違った感情が生まれるかもしれません。

人は、事実そのものではなく、その解釈によって、ハッピーになったり、アンハッピーになったりします。
この場合の事実は、単に「待ち合わせの人が来ない」ということで、その理由はまだ判明していません。

どうならハッピーなのか?

あなたがハッピーだと感じればハッピーです。
どんな状況でも、あなたがどう解釈し、感じるかの問題です。

あなたが何かを手に入れるとハッピーになるのではなく、ハッピーだと解釈できたとき、あなたはハッピーだと感じられます。

結局、あなたのハッピーを決めている、決められるのはあなた自身です。

次回、もう少し詳しく説明します。

ハッピーに過ごすヒント 第7回 どうならハッピーなのか?(中編)

どういう状態ならハッピーなのか?

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローの「欲求段階説」によると、人間の欲求は次のような段階構造になっているということです。

一番下 生理的欲求(食事、睡眠)
2番目 安全の欲求(安全、経済的安定、健康)
3番目 社会的欲求(友情、愛情、所属)
4番目 尊重の欲求(認められたい、尊重、評価されたい)
5番目 自己実現の欲求(自分の能力、可能性を最大限に発揮したい)

この説によると、一番下が85%ほど満たされると2番目、2番目が70%満たされると3番目、3番目が50%満たされると4番目、4番目が40%満たされると5番目の段階を求めるが、1~4が満たされなくても5番目を求める人もいるとのことです。

さらに、マズローは、晩年、5番目の上に6番目「自己超越」(見返りがなくとも社会的目的を達成したい)の段階があると言っています。

これでいうと、前回書いた「仕事で成功する」は、4番目か5番目ですよね。

けれども、仕事で成功していて、なおかつ、ハッピーを絵に描いたような家族がいても、自分はぜんぜんハッピーではないと思っている人もいます。

そういう人たちがときどき口にするのは「つまらない」「わくわくすることがない」「いろいろなものを手に入れ、いろいろなことが分かるようになって、楽しくなくなった」ということです。

「先が見えないなか、苦労していたときが楽しかった」などと言います。

こちらが「それじゃあ、また苦労すればいいじゃないですか」と言うと、「自分はもう守りに入っていてできない。せいぜいこれからの人を育てるぐらいだ」などと言ったりします。

本人が、「もう頂上にたどり着いた。他の山に登る気はない」と思ったら、そこで「ハッピーの旅路」は終わりなのでしょうか?

前回書いたように、何かを得たらハッピーは、得ても「もっともっと」となりますが、十分に得たら得たで「もう得たいものがないので、つまらない」と言う人がいる。

結局、どこまで行ってもハッピーは得られないのでしょうか? そんなことはありませんよね。

ということで、また来週。

ハッピーに過ごすヒント 第6回 どうならハッピーなのか?(前編)

昨日までお盆休みで今日から仕事だったという人がたくさんいらっしゃると思います。
今朝は「はあ」とため息をつきながら、暑いなか、重い体を引きずるように出勤された方もいらっしゃるかもしれません。
あるいは、「自分にはお盆休みなんてない。先週もこの土日も仕事だった」という方も。

しかし、見方を変えれば、仕事があるのはいいことです。
そして、住む家があり、戦争や暴動が起きているわけでもありません。
今朝も、あの世に行くことなく起きて、身体も動いている。

それでも、そんなことは当たり前で、自分はぜんぜんハッピーではないと思っている方もいらっしゃるでしょう。

では、どういう状態ならハッピーなのか?

働かなくてもいいぐらいのお金があったらハッピー?
働かなくてもいいぐらいのお金があったらハッピー?

仕事で成功する。
お金持ちになる。
働かなくても遊んで暮らしていける。
誰もが羨むパートナーを得る。
……

しかし、どれだけ成功しても、お金があっても、自分はハッピーだと感じられない人もいます。
人が羨むようなパートナーを得ても、ずっと幸福感が続くとは限りません。

成功している実業家。評価の高い仕事人。
優しそうなパートナーと、優秀で可愛い子どもたち。

いかにもハッピーを絵に描いたような人、家族。

しかし……。

他人からは幸せそうに見えても、本人がハッピーだと感じているとは限りません。
他の人にはわからない、その人なりの悩みや大変なことはあります。

かつて、ある国の人が言っていました。
「私は、日本人として生まれたかった。日本人として、日本で暮らせていたら、どんなに幸せだっただろう」と。

多くの日本人にとって、ただ日本人であることは、ハッピーの理由にはなりません。それは「当然」のことですから。

同様に、人から見たらハッピーに見える状態、羨ましいことであっても、本人にとって、それは「当然」であり、ちっとも「ハッピー」と結びつかなかったりします。

こんな状態になったらハッピー、これを得たらハッピーというのは、それが叶っても「末永く幸せに暮らしましたとさ」にはなかなかなりません。
合格したらハッピー。就職したらハッピー。結婚したらハッピー。成功したらハッピーは、やがて、その状態が「当然」になります。

そして、「もっと」何かを得ないとハッピーではなくなります。
それを得ても、さらに「もっと」、さらに「もっと」何かを得ないとハッピーではなくなり……限りがありません。

では、どうならハッピーなのか? どうすればいいのか? 続きは来週。

ハッピーに過ごすヒント 第5回 いま日本でどんな人が満足しているのか?~世論調査より

内閣府の「国民生活に関する世論調査」平成25年6月調査のデータが公表されました。

これは、「現在の生活に対する満足度」「充実感を感じる時」などについて聞いたもので、全体の数字はテレビなどで紹介されていますが、属性によってバラツキがあり、見ていくと面白いです。

MP900313773まず、全体の満足度、「あなたは,全体として,現在の生活にどの程度満足していますか」という質問の結果は下記です。

「満足している」10.3%、「まあ満足している」60.7%
「やや不満だ」22.2%、「不満だ」5.3%
「どちらともいえない」1.1%、「わからない」0.3%

「71%の人が満足」と、テレビで取り上げられていますが、「満足」より「まあ満足」が多いですね。

男女では、
男性「満足」9.0%、「まあ満足」59.4%
女性「満足」11.4%、「まあ満足」61.7%
と、若干、女性のほうが満足度が高いです。

年齢別でもっとも満足度が高いのが、20~24歳。
男性「満足」21.2%、「まあ満足」59.3%
女性「満足」20.7%、「まあ満足」60.4%
男女いずれも、80%以上が満足しています。

年齢別でもっとも満足度が低いのが、45~49歳。
男性「満足」7.5%、「まあ満足」50%
女性「満足」6.4%、「まあ満足」61.4%
男性は60%を切っていますね。

年齢別の満足度は、20代が一番高く、30代がそれよりも下がって、40~50代が底で、60代、70歳以上と上がっています。

職業では、雇用者で「管理職」「専門・技術職」の満足度が高く、80%を超えています。
満足度が低いのは自営業主で62.4%ですが、なかでも「生産・輸送・建設・労務職」は60%を切っています。

生活の程度別(自分で判断)では、「上」「中の上」だと思っている人は、満足度が高いです。
上「満足」60%、「まあ満足」35%
中の上「満足」26.3%、「まあ満足」65.6%
と、90%以上が満足しています。

逆に、「中の下」「下」だと思っている人は、満足度が低いです。
中の下「満足」3.3%、「まあ満足」43.9%
下「満足」2.1%、「まあ満足」21.8%
と、かなり低い数値になっています。
では、満足度の高い人(「満足」「まあ満足」を選んだ人)は、何に充実感を感じているのかというと、これは、属性によって中身が変わります。

20代がもっとも充実感を感じるのは「友人や知人と会合,雑談している時」57.9%、「趣味やスポーツに熱中している時」55.9%です。

これに対し、管理職がもっとも充実感を感じるのは「仕事にうちこんでいる時」56.8%、「家族団らんの時」53.7%、専門・技術職がもっとも充実感を感じるのは「家族団らんの時」55.6%、「ゆったりと休養している時」52.3%です。

別の質問に「あなたは,収入と自由時間について,自由時間をもっと増やしたいと思いますか,それとも,収入をもっと増やしたいと思いますか」というのがありますが、20代は「収入」が59.4%で「自由時間」が33.6%。
管理職は、「自由時間」が48.6%で、「収入」が37.1%、専門・技術職は、「自由時間」が50.8%で、「収入」が38.9%でした。

まとめると、満足度の高い20代は、友人や知人との時間、趣味・スポーツに充実感を感じていて、もっと収入を増やしたいと思っている。

管理職は、仕事に打ち込んだり、家族との時間に充実感を感じていて、自由時間を増やしたい。
専門・技術職は、家族との時間や休養に充実感を感じていて、自由時間を増やしたいと思っているようです。

ハッピーに過ごすヒント 第4回 不満の減らし方

MP900385401「自由=不安」と「安定=不満」はセットで表裏一体。「自由」をとったら「不安」を、「安定」をとったら「不満」を減らしたほうがいいと前回書きました。

そして今回は、「不満」を減らす方法です。

前々回の「不安にどう対処するか?」で、ネガティブな感情は、私たちに何らかのメッセージを伝えていると書きましたが、「不満」もメッセージを伝えています。

それは、「何かが違う」というメッセージです。

「不満」という言葉通り、満たされていない、納得がいかない、こうあるべきなのにそうなっていない。いずれにしても、何かが違うというわけです。

そこで、何が違うのかというと、「私」の考え・価値観・ルール・常識と、「相手」「実際」が違うのです。

仕事で、休みがとれない、残業が多い、給料が安い、上司の指示が悪い、部下が文句ばかり言って働かない、仕事が終わっていないのに帰る人がいる、主体性がない人が多い、などなど。

夫婦で、相手が協力的でない、連絡しない、自分勝手と、一方が思っていれば、もう一方は、相手が小うるさい、いろいろ要求する、縛ろうとする、自由がない、と思っていたりします。

「相手」「実際」が「私」の思い通りではない。「違う」のです。そして、「違う」ことに納得がいきません。

そのベースにあるのは、私が正しく、相手が間違っている。実際がおかしいという思いです。

「安定」するというのは、何かを選ぶ、たとえば、就職先を選ぶ、結婚相手を選ぶということで、逆にいうと、選ばなかった選択肢は消えてしまいます。

選んだものに縛られる。選んだものの考え・価値観・ルール・常識と四六時中向き合わなければなりません。自分のそれらと完全に一致することは稀なので、どうしても「不満」が生まれます。

けれども、これは、自分側からの見方であって、相手があなたに「不満」を与えようとしているわけではありません。相手も同様に「違う」と思っているかもしれませんし、何も思っていないかもしれません。

そこで、やるべきことは、「調整」です。

事実を確認する。意図や背景を確認する。自分が誤解している場合も少なくないからです。
同時に、自分の望みを明確にする。
そのために、自分ができること、したほうがよいことを考える。柔軟に方法を考える。
建設的に相手と調整する。

自分が相手を選び、相手から自分が選ばれたときのことを思い出し、違う価値観、考えがあることを認め、相手の立場にも立って、いい方法を考えるしかありません。