「好きなこと」「嫌いなこと」「どちらでもないこと」のどれをしているときが、一番楽しいですか? 言うまでもなく「好きなこと」ですよね。
では、3つのうちで、一番やる気になって、やっていて効率的なのは、どれでしょう? やはり「好きなこと」ですよね。
好きなことは得意なことになりやすく、逆に、嫌いなことは苦手なことになりやすいです。
学生のときの「好きな教科」「嫌いな教科」をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
好きな教科は得意で成績がよく、嫌いな教科は苦手で成績はあまりよくないことが多いでしょう。
部活でもスポーツでも趣味でも、自分が好きなことは得意なことになりやすく、よい結果につながりやすいですが、嫌いなことは苦手なことになりやすく、よい結果につながりにくいと思います。
しかしながら、これが「仕事」を選ぶ場合、これとは違う考えに左右される場合があります。
それは、「好きなことでは食べていけない」「仕事は嫌なこと、苦痛を耐えることによってお金がもらえる」という考えです。
そのため、仕事に「好きなこと」を選ばず、あえて「苦手なこと」「どちらでもないこと」を選ぶケースがあります。
前者は、冷静に考えると、「好きなことでは食べていけないかもしれないが、嫌いなことではなおさら食べていけない。そんなに世の中甘くない」はずです。
先ほどの、学生のときの「好きな教科」「嫌いな教科」で考えてみましょう。
「好きで得意で成績のよい教科」で勝負せず、「嫌いで不得意で成績のよくない教科」で勝負するのは、明らかに不利です。
入試で選択できるなら、どちらの教科を選ぶでしょうか? もちろん「好きで得意で成績のよい教科」でしょう。仕事も同じことだと思います。
次に後者。
はっきり言って、組織・企業の経営陣は、構成員・社員が、苦痛を耐えていようがいまいが、売り上げが上がって、利益につながればよいのです。
さらに言えば、経営陣としては、構成員・社員が、楽しそうで、元気に働いてくれているほうがいいのです。そのほうが仕事も頼みやすいし、仕事の効率もいいし、メンタルヘルスにかける費用が少なくて済みます。
仕事に「好きなことを選ばない」理由にはいくつかあると思います。
就ける仕事が少なく選ぶ余地がない。安定性や給与の高さを優先するなど。しかし、「傷つきたくない」という考え方もあると思います。
仕事に限らず、本当に好きでやりたいこと、一番したいことはあえてやらないという人がいます。これは、挑戦して、うまくいかなかったら、傷つくからです。
失敗したり、拒否されるのが怖いからです。挑戦しなければ、関わらなければ、失敗することも、拒否されることもなく、傷つくこともありません。
これが、「嫌いなこと」「どちらでもないこと」なら、うまくいかなくてもプライドや心の平安は保たれ、うまくいったら自信につながります。
しかし、多くの場合、「嫌いなこと」を続けるのは苦痛であり、成果を上げるのは難しいものです。成果が上がるようになる場合、たいてい「好きなこと・得意なこと」に変わっていることが多いです。
――
まわりの環境が、好きなことをしない、挑戦しない環境だと、だんだん好きなことをしたり、挑戦することが「悪」のような感じになってきます。
まわりの人が、好きなことをせず、我慢して、嫌いなことをして耐えているのに、そういうところで、好きなことをして楽しく過ごすなど、許しがたい雰囲気になります。
そういった環境では、「好きなことをやってはいけない。ましてや、それでお金をもらってはいけない」という価値観になりがちです。
しかしながら、やはり「好きなこと」がもっともやる気になり、継続でき、やっていて効率的で、成果につながりやすいのです。